■インタビュー

クリニック終了後に監督さん1名と選手2名に、本日の感想などをお話しいただきました。
 

■監督

水戸市立渡里小学校 郡司俊宏監督

・川村さんの練習法を見てどうでしたか?

川村さんが、その場の選手や状況を見て臨機応変に練習メニューや指導方法を変えていたのは流石だと思いました。その子の成長に合った指導や練習を見出すのが一番難しいと思うので、そこの判断は見習いたいです。

・川村さんのアドバイスや動きで印象に残っていることはありますか?

小学1年生から体の大きい6年生までいるなかで、川村さんがそれぞれの選手に的確なアドバイスをしていたのが印象的でした。私は(B)の1on1の担当だったのですが、途中で川村さんがディフェンスに入った時に最初は子供達を抜かせないようにして、最後のゴール間際で、例えばロールターンを使えば抜けるよ……みたいに指導しながら選手に成功体験をさせていたのも素晴らしいと思いました。厳しいディフェンスをしながら最後はシュートのフィニッシュまで行かせる……子供達も川村さんを抜いたことが自信になるでしょうし、凄く楽しそうにプレーしていました。

・選手のプレー面で改善すべき点など新たな発見はありましたか?

膝を曲げてシュートを打つ…という点を川村さんが子供達にアドバイスされていましたが、私も普段から、そこを改善したいと考えていたので目線は間違っていないのを確認できました。それから、オフェンスではドリブルの質、さらにディフェンス時の体の寄せ方や足の使い方なども練習を積む必要があると思いました。

・今回のクリニックを通して選手達に今後どのようにプレーして欲しいと思いますか?

今日は選手達が気持ちよさそうに動いていたので、今後の練習や試合でも同じような雰囲気でプレーしてもらえたら……と思います。その方が動きも滑らかで良くなり、自分の持っている力を発揮しやすくなると感じました。

■選手2名

・鈴木 暖さん(渡里ミニバス所属・小学校6年生)

今日は、ほかのチームの選手と話しをしながら練習ができて凄く楽しかったです。普段あまり練習しないレッグスルーやバックビハインドなどのドリブルについて学べたのも良かったです。川村さんからは強くドリブルすることや動き方などについて色々教えてもらいました。ナイキのシューズは、空中を歩いているみたいに柔らかくて凄く動きやすいと感じました。

・花積和香さん(笠間ミニバス所属・小学校6年生)

レッグスルーなど普段あまりやらないドリブル練習やシュート練習などが楽しかったです。川村さんに、膝を曲げてシュートを打つことの大切さを教えてもらいました。私は横幅の狭いシューズだと足が痛くなってしまうのですが、今回履いたジョーダンのシューズは上手くフィットしてくれて走りやすかったです。これからもチームプレーを心がけて周りを見てプレーできる選手になりたいです。

続いて、午後からは中学生の部が行われました。参加したのは、女子27名(美野里中、青葉中、J-BLACKS)、男子 28名(美野里中、友部二中、友部イーグルス)の計55名(6チーム)。川村さんが考案した練習メニューは基本的には小学生の部と同じで、(A)対面シュート、(B)1on1、(C)ドリブルからのシュート練習、そして(D)については技術レベルが小学生よりも高いため、最初から2on2で行われました。

(A)の対面シュートでは、中学生の部では、練習範囲がシュートに行くまでの動きまで広がりました。特にシュートを打つ前に行うドリブルの動き方は多くの選手の課題に。ポイントは、できるだけディフェンスの壁役の近くを抜いていくことでした。この点について川村さんは「ディフェンスから離れて遠回りする選手が多い印象でした。しかし、それではゴールから遠ざかることになり、シュートが決まる確率を上げられません。体がぶつかるぐらいギリギリの場所を攻めて抜ければ、得点できる可能性が高くなります。ぶつかるのは怖いと思いますが、練習の時から勇気を持って攻めることが大切です」と分析。

川村さんはディフェンス役としてコートに立っている時に、ドリブルで遠回りする選手に対して「ぶつかって来ていいんだよ」と自ら体を寄せる場面も……。実際に体が触れた際も「当たり負けない! 態勢が崩れてもシュートを決めるんだ」と終始みんなを鼓舞していました。そんな熱心な指導により、選手達も徐々にゴールへの最短距離で抜くドリブルができるようになっていきました。

さらに後半では、リジェクトやロールターンなどで2人のディフェンスをかわす練習なども実施。鮮やかなテクニックでディフェンスを抜き去る選手も目立ちましたが、その後のシュートを外すケースが多くありました。「キレイに抜いた時点で満足してしまう選手が多いです。最後のシュートを打つところまで気を抜かず、決め切る取り組みが必要ですね」と指摘。選手達も川村さんの言葉に耳を傾け、シュートに至るまでスキルを磨いていきました。

また、(B)1on1でも、より実践的な練習が展開されました。川村さんがディフェンスとしてコートに入ると「一度止められても絶対に諦めない! そこから抜き返す」と選手達を鼓舞。これに選手も応え、何度も果敢に川村さんに立ち向かっていく姿が見られました。

さらに川村さんは「ディフェンスに止められた瞬間に動かなくなるのはダメです。また、抜けないからと、無理して難しいシュートを打っても決まる確率が低い。止められたら一度下がってバランスを整え、再びチャレンジしてディフェンスを抜き返す……。そんな攻め方の癖をつけることが大切です。それから抜いた後のシュートを決め切ることも重要です」と改善点を語ってくれました。

(C)ドリブルからのシュート練習では、トップ、右ウイング、左ウイングの3レーンに分かれてドリブルを実施。最初は、右ウイングはレッグスルーを2回行い止まってバランスを整えてからジャンプシュート。トップは監督やコーチが手を広げて立ち、その幅をクロスオーバーやロールターンで抜いてレイアップシュート。左ウイングはバックビハインド2回からのジャンプシュートで行われました。選手が慣れてきたら、レッグスルーやバックビハインドなどを自由に組み合わせながらシュートまで持ち込むなど、変化を付けながら練習が進みました。

シュート精度が落ちてきた際には、フリースローの練習を途中に挟むなど、状況に応じたメニューの組み換えも実施。「フリースローはシュートの基本です。ドリブルからシュートを打つ際に、リズムがバラバラでドタバタした選手が多かった時に、一度基本に立ち返った方が良いと考えてフリースローを行いました。ドリブルをつき終わった後のシュートもフリースローと同じように、正しいリズムで打てるのが理想的です」と川村さん。ドリブルからシュートへ移る際に慌てないこと、リズムの大切さを選手に伝えていました。

(D)の2on2は、(A)~(C)で行ってきた練習の応用編です。川村さんが中学生に求めたのはスピードのある動き。攻守の切り替えの早さやシュートの精度など、試合での動きを想定した練習が行われました。

選手の動きをチェックしていた川村さんは「緩慢な動きで2on2を行っても効果的ではありません。ドリブルやパスを駆使しながら速く動いてオフェンスはディフェンスを翻弄できるように、反対にディフェンスはオフェンスの攻撃を先回りして止められるように頑張って欲しいです。シュートはレイアップが打てる位置まで入り込めるように攻撃を組み立てるのがポイントです」と改善点を語ってくれました。

練習の最後には、小学生の部と同じようにゴールを決めた選手が帽子やソックスなどの賞品をゲットできるフリースロー対決が行われ、会場は大いに盛り上がりました。

「みんなのプレーで感じるのは、シュート練習を積み重ねた方が良いという点です。男女とも同じですが、ドリブルやフェイクなどでディフェンスをかわすまでは頑張れるのに、その後にバランスを崩したまま適当にシュートを打ってしまう……。これでは点は入りません。ディフェンスを抜いた後に、綺麗なシュートが打てる態勢を作ることが重要です。それから男子は、フィジカルのぶつかり合いを嫌っている選手が多いと感じました。僕がディフェンスをした時にぶつかり合ったぐらいの強度で練習すれば、試合でドリブルやシュートが上手くいくと思います」とクリニックの総括を川村さんは選手に伝えていました。

練習後も、川村さんは子供達からのサインのお願いに笑顔で応えるなど、終始和やかな雰囲気の1日となりました。

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